トイレが詰まったらワイヤーブラシは逆効果？知らないと危険なNG行動と正しい方法

「トイレが詰まって水が流れない…」
そんなとき、家にある道具で何とかしようとして、「ワイヤーブラシなら使えるかも？」と思ったことはありませんか？

確かに、ワイヤーブラシはホームセンターや100円ショップでも手に入り、頑固な汚れや詰まりに効きそうな印象があります。

ですが、トイレの詰まりにワイヤーブラシを使うのは、実は非常に危険な行為です。

便器を傷つけたり、詰まりを悪化させてしまったりと、ちょっとした作業のつもりが思わぬ修理費用につながるケースもあります。

あわせて読みたい

2025年最新版｜トイレつまり解消道具完全ガイド｜初心者でもできる最強アイテム徹底比較 トイレ詰まりはご家庭で比較的よくある水道トラブルです。 詰まりの原因や状況によっては異なりますが、軽度な詰まりであれば「なんとか自分で対処したい」と思いますよ...

トイレ詰まりにワイヤーブラシを使うのはNG！その理由とは？

「ワイヤーブラシで詰まりを突けば解消できそう」と思うかもしれませんが、それは大きな誤解です。
ここでは、なぜワイヤーブラシをトイレで使ってはいけないのか、その理由を段階的に解説します。

そもそもワイヤーブラシは何の道具？

ワイヤーブラシは、金属製の硬い毛を持った清掃用具で、主に以下のような場面で使われます。

• 金属のサビ落とし
• タイルの目地掃除
• 頑固な油汚れの除去

つまり、硬い表面に付着した汚れを“削り取る”ための道具なのです。
構造上、細い毛先に力が集中するため、対象物に強い摩擦やダメージを与える設計になっています。

なぜトイレに使ってはいけないのか？

トイレの便器や配管内は、非常に繊細な構造になっています。

• 便器は陶器製で、キズがつくと汚れが付きやすくなる
• 排水口やS字トラップは複雑なカーブ構造で、強引に押し込むと破損のリスクがある
• ブラシの先端が外れて詰まりの原因になる可能性もある

また、ワイヤーブラシはトイレ詰まりのように“奥の異物を押し流す”作業には不向きです。
無理に押し込むと、詰まりの原因をさらに奥に押し込んでしまい、逆に悪化させるケースもあります。

実際に使った人の失敗例

調査したところ、トイレの詰まりにワイヤーブラシを使用した方の中には、むしろ状況を悪化させてしまったケースも少なくありません。
以下は、実際にあった失敗談の一部です。

ケース1：ワイヤーブラシが抜けなくなり、取り出すまでに数時間

「トイレにワイヤーブラシを差し込んだら、奥で引っかかって抜けなくなりました。無理に引っ張ってもダメで、結局2時間以上格闘…。最終的には分解してなんとか取り出しましたが、もう2度と使いたくありません。」

ワイヤーブラシは曲がりながら配管に入り込むため、奥で絡まったり引っかかるリスクがあります。強引に動かすと便器を破損させる恐れもあるため、注意が必要です。

詰まりの原因を押し込んで、状況が悪化

「ティッシュの詰まりを何とかしようと押し込んだら、かえって奥に押しやられてしまい、完全に詰まってしまいました。結局、業者を呼ぶことに……費用もかかって後悔しています。」

詰まりを“ほぐす”つもりで使った結果、逆に押し込んでしまうのはよくある失敗例です。
特に便器の構造や配管の形を理解せず使うと、問題がさらに深刻化する可能性があります。

ケース3：ブラシの一部がちぎれ、便器の中で回収不能に

「ブラシが硬くてガリガリやっていたら、毛の一部がちぎれてしまって、それが便器の奥に残ってしまいました。どうしても取れず、結局業者頼みになりました。」

ワイヤーブラシはもともと掃除用の工具であり、トイレ詰まり除去の設計がされていないものも多く、構造上の破損やちぎれが起きやすいです。異物が残ることでさらに詰まりを引き起こすリスクもあります。

ワイヤーブラシでトイレを傷つけるリスク

ワイヤーブラシをトイレ詰まりに使うことで生じるリスクは、ただ「効果がない」だけではありません。

便器や配管自体を損傷してしまう可能性があるのです。ここでは、代表的なリスクを具体的に解説します。

陶器の便器にキズがつく

トイレの便器の多くは、陶器でできています。表面には「釉薬（ゆうやく）」と呼ばれるガラス質のコーティングが施されており、この層が汚れや水垢を付きにくくする役割を果たしています。

しかし、ワイヤーブラシの硬い金属製の毛はこのコーティングを容易に削ってしまいます。
一度キズがつくと、以下のようなトラブルが起こりやすくなります。

• 汚れや黒ずみが付きやすくなり、見た目が悪くなる
• カビや雑菌の温床になりやすくなる
• 洗っても取れない「頑固な汚れ」となって残る

つまり、ワイヤーブラシでこすって便器が傷ついた瞬間から、トイレの清潔性と寿命が一気に下がるといっても過言ではありません。

あわせて読みたい

トイレに寿命ってあるの？交換するタイミングや費用について解説 トイレに寿命があることをご存じでしょうか？便器やタンクなどは陶器で作られており頑丈そうに見えますが、そんなトイレにも寿命は存在します。 長く使用しているけれど...

配管やトラップを破損する可能性も

トイレの詰まりは、多くの場合、便器の奥にある「S字トラップ」や排水管の途中に発生します。
この部分はカーブしており、力任せに金属製のブラシを押し込むと以下のようなリスクがあります。

• 配管の内側にキズがつき、汚れがたまりやすくなる
• 無理に押し込んだブラシが詰まりを押し広げてしまう
• 最悪の場合、排水管や便器のヒビ割れにつながる

配管や便器の破損は、水漏れや床材の腐食など、深刻な二次被害を引き起こす可能性があります。修理には数万円〜十数万円かかることもあり、自己処理の範囲を大きく超えてしまいます。

あわせて読みたい

洋式トイレの構造を理解して水漏れや詰まりを予防｜和式との違いも解説 普段何気なく使用しているトイレですが構造や、どういった仕組みで排水されているかについて詳しく知らない方は多いはずです。 トイレの内部構造や仕組みを知っておくと...

詰まりが悪化するケースも

「詰まりをかき出すつもりで押し込んだら、余計に水が引かなくなった」
このように、誤った使い方が原因で詰まりが悪化するケースは非常に多いです。

ワイヤーブラシでは詰まりの根本原因（トイレットペーパーの塊、生理用品、掃除用シートなど）を押し出すことができず、かえって奥に詰まらせて完全に水の流れを塞いでしまうこともあります。

結果的に、ワイヤーブラシの使用が原因で、

• トイレが完全に流れなくなる
• 排水が逆流する
• 水が床にあふれ出す

といった被害を引き起こすことも。

あわせて読みたい

トイレの水が突然あふれた…原因・対処法・業者に頼むべきタイミングは？ トイレの水があふれるトラブルは、家庭内で起こる緊急事態のひとつ。 突然の水漏れに慌ててしまい、どう対処すれば良いかわからない方も多いでしょう。 水が溢れる原因...

賃貸物件では特に注意が必要な理由

トイレの詰まりに対処するため、ワイヤーブラシ（ワイヤークリーナー）を使おうと考える方もいるかもしれません。

しかし、賃貸物件ではこの方法には大きなリスクが伴います。
なぜなら、賃貸住宅では「借主が故意または過失で設備に損害を与えた場合」、原状回復の対象となり、修理費用の負担を求められることがあるからです。

ここでは、賃貸物件でワイヤーブラシを使用することによって起こりうるリスクと、トラブルを避けるために知っておくべきポイントを解説します。

設備破損は原状回復の対象になる可能性

ワイヤーブラシは硬く、強力な摩擦を伴って排水管の中をこすりながら進みます。

詰まりがひどい場合には確かに一時的に効果を発揮することもありますが、無理に押し込んだり、金属部で便器や排水管の内側を傷つけたりすると、配管やトイレ本体に損傷を与えてしまうリスクがあります。

これが原因で便器や配管の交換が必要になった場合、「経年劣化」ではなく「使用者の過失による損傷」とみなされ、借主が修理費を負担する可能性が高くなります。
賃貸契約における「原状回復義務」により、退去時やトラブル発生時に高額な請求を受けるケースもあるため、慎重な対応が求められます。

勝手な修理が契約違反になることも

多くの賃貸契約では、「設備に問題が生じた場合は、速やかに管理会社または大家へ報告し、許可なく修理・改修を行わないこと」という条項が記載されています。
これは、借主の勝手な判断で修理を行った結果設備にさらなる損傷が生じたり、トラブルが悪化することを防ぐためです。

ワイヤーブラシを使って排水管の奥まで無理に押し込んだり、異物を奥へ押し込んでしまったりすると、かえって専門業者でも対応が難しくなり、修理費用が高額になる場合があります。

許可を得ずに行った修理や道具の使用が原因で状況を悪化させた場合、契約違反とみなされ、本来は大家側が負担すべき修理費まで入居者が請求されることもあるので注意が必要です。

トラブルを避けるためにやるべきこと

賃貸物件でトイレが詰まった場合、まずは自己判断で修理や道具を使わず、管理会社や大家に連絡することが最優先です。
連絡の際には、以下の情報を簡潔に伝えるとスムーズです。

• 詰まりの状況（流れない・流れが遅い など）
• 詰まる直前に流したもの（異物・大量のトイレットペーパーなど）
• いつ頃から詰まりが発生したか
• 応急処置を試したかどうか（試した場合は何をしたか）

また、応急処置としてラバーカップ（すっぽん）など、器具を傷つけにくい道具を正しく使うのは許容されることが多いですが、それでも事前に管理会社へ相談することが望ましいです。

さらに、使用しても問題ない洗浄剤や道具についても、事前に確認しておくと安心です。

あわせて読みたい

賃貸でトイレが詰まったときの対処法まとめ｜自分で直せる軽度トラブルから管理会社への連絡まで 賃貸のトイレ詰まりトラブルが発生した場合、水道設備の修理にかかる費用の負担は、大家側か借主側かで揉めることがよくあります。 一般的に、トイレの詰まりが借主の使...

自分でできる！トイレ詰まりの正しい対処法とおすすめ道具

ワイヤーブラシのような不適切な道具を使うのではなく、安全かつ確実な方法でトイレの詰まりに対応することが大切です。
ここでは、初心者でも実践しやすく、トイレを傷つけるリスクがない方法を紹介します。

詰まりの種類に合わせた対処法を知ろう

トイレ詰まりには、原因によって適切な対処法が異なります。
以下のような目安を参考にしてみてください。

詰まりの原因	対処法
トイレットペーパーの詰まり	ラバーカップ、ぬるま湯＋時間を置く
流せるシート、生理用品	無理に流さず、早めに業者を呼ぶ
小さなおもちゃ・異物	逆流の恐れあり。自力での回収は危険
水位が高いまま下がらない	強い詰まりの可能性。業者対応推奨

また、ぬるま湯をゆっくり注ぎ、しばらく放置することで、紙詰まりなどが自然に解消することもあります。

ただし、熱湯を使用すると便器が割れるリスクがあるため、温度には十分注意してください（40〜50℃程度まで）。

あわせて読みたい

トイレの詰まりにお湯が効く理由と正しい使い方｜注意点を押さえてプロが教える解決法 トイレのつまりでお困りの方から「お湯を使うと本当に効果があるの？」というご質問をよくいただきます。 結論として、お湯はトイレの詰まり解消に非常に効果的な方法で...

まず試すべきは「ラバーカップ」

最も一般的で効果的な方法が、ラバーカップ（通称スッポン）を使うことです。

正しい使い方のポイント

1. 便器内の水が溢れない程度まであることを確認（少ない場合は水を足す）
2. ラバーカップを排水口に密着させる
3. 押すよりも「引く」動作を意識して数回繰り返す
4. 詰まりが抜けたか確認し、2〜3回流してみる

どうしてもワイヤーブラシを使いたい人におすすめの製品

トイレ詰まりの対処にはワイヤーブラシは基本的におすすめできませんが、どうしても自分で解消したい場合は、安全性や使いやすさに配慮した製品を選ぶことが重要です。

そこで、SANEI（旧：三栄水栓製作所）のトイレクリーナー「PR86」をご紹介します。

SANEIのトイレクリーナー

SANEIのトイレクリーナー「PR86」は、和式・洋式トイレ両方に対応したトイレ専用のワイヤーブラシです。

操作しやすいハンドルと耐久性の高いワイヤーで、詰まりの原因を押し流したり絡め取ったりできます。

ただし、無理に強く押し込むと便器を傷つける恐れがあるため、慎重に扱う必要があります。また、作業中に異物が奥に押し込まれたりブラシが破損した場合は、すぐに使用を中止し専門業者に相談してください。

自分で直せないトイレ詰まりはプロの水道業者に依頼しよう

自力での対処で改善が見られない場合は、無理に道具を使わず、早めにプロの水道修理業者へ相談するのが最も安全です。

• 詰まりの原因が特定できない
• ラバーカップでも水位が変わらない
• 使用できない状態が数時間以上続いている

このような状況では、下手に触るよりも専門の工具やカメラを使って点検できる業者の方が確実です。

最近では、無料見積もりや出張費0円の業者も増えており、事前に料金がわかるケースも多くなっています。

プロに依頼する前に確認したい3つのポイント

トイレ詰まりが自力で解消できない場合、プロの水道修理業者に依頼するのが最も確実です。ただし、依頼前にいくつかのポイントを押さえておくことで、スムーズな対応とトラブル防止につながります。ここでは、業者に依頼する前に確認しておきたい3つのポイントをご紹介します。

詰まりの状況を正確に把握する

どのような状況で詰まったのか、何を流したか、どの程度水が流れないのかを整理しておきましょう。

たとえば、ティッシュや固形物、油脂の詰まりなど原因によって適切な対応が異なります。

業者に正確な情報を伝えることで、作業の準備がスムーズになり、余計な費用を防ぐことにもつながります。

見積もりと料金体系を確認する

依頼する業者の料金体系や見積もりの取り方を事前に確認しましょう。出張費、作業費、材料費などが別途発生する場合もあるため、トータルの費用を把握しておくことが重要です。

可能であれば複数業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。

最近では無料見積もりや出張費0円の業者も増えており、事前に料金がわかるケースも多くなっています。

追加作業や保証の有無をチェックする

作業中に予期せぬ追加作業が必要になるケースがあります。

その際にかかる費用や作業内容について、事前にしっかり説明を受け、理解・確認したうえで依頼すると安心です。

また、修理後の保証期間やアフターサービスの有無も確認しておくと、万が一トラブルがあった場合に役立ちます。

あわせて読みたい

後悔しないトイレつまり業者の3つの選び方と注意するべきポイント 急にトイレがつまってしまって焦っていませんか？トイレがつまってしまうと水を流しても逆流して水位が上がりジワジワと下がっていくだけでちゃんと流れません。 自分で...

トイレ詰まりを防ぐ日頃の習慣

トイレの詰まりは、日々のちょっとした使い方や意識の違いで予防できるケースがほとんどです。
「詰まってから慌てる」よりも、「詰まらせない工夫」を日頃から取り入れておきましょう。

あわせて読みたい

もう詰まらない！トイレの詰まりを予防する習慣とおすすめグッズ 「またトイレが詰まった…」「スッポンを使っても全然流れない」「何が原因かわからないけど、よく詰まる気がする」そんなトラブルに悩まされていませんか？ 実は、トイ...

過剰なトイレットペーパーの使用を避ける

トイレットペーパーは水に溶ける性質がありますが、一度に大量に流すと詰まりの原因になります。

多く使ったときは、2〜3回に分けて流す or 「流す→足す→流す」の分割方式を心がけましょう。

あわせて読みたい

トイレットペーパーが流れず浮く5つの原因と今すぐできる対処法 トイレでトイレットペーパーがうまく流れず、慌てた経験はありませんか？ 「少量なのに詰まってしまった」「流そうとしたら水があふれそうになった」—こんな時、誰でも...

「流せる」＝「詰まらない」ではない

市販の「流せるお掃除シート」や「流せる生理用品」などは、実際には詰まりの原因として非常に多いです。

これらは水には溶けにくく、配管の途中で引っかかることがあります。特に古い住宅や、水流が弱い節水型トイレでは要注意。

できるだけ可燃ゴミとして処理し、「流す」のはトイレットペーパーだけにしましょう。

あわせて読みたい

トイレに流してはいけない物とは？知らずに流すと詰まりや故障の原因に 「これ、トイレに流しても大丈夫…？」「ちょっとぐらい大丈夫だろう」と思って流したものが、実はトイレ詰まりや配管トラブルの原因になっているかもしれません。 ティ...

定期的な掃除と配管ケアも効果的

尿石や汚れの蓄積も、詰まりの元になります。
特に、目に見えない排水管の内部では、水垢や紙くずが少しずつ溜まり、詰まりを引き起こすケースも。

定期的な掃除や専用の洗浄剤を使うことで、こうした蓄積を予防し、スムーズな排水を保つことが大切です。

トイレ詰まり｜ワイヤーブラシについてよくある質問≪Q＆A≫

まとめ

トイレの詰まりは生活の中でも非常にストレスになる問題ですが、間違った道具選びや無理な力任せの対処は、かえってトラブルを悪化させるリスクがあります。

特に「ワイヤーブラシ」は、配管や便器を傷つけてしまう可能性が高いため、絶対に使用を避けるべきアイテムです。

代わりに、詰まりの程度や原因に合わせて、ラバーカップやトイレ専用ワイヤー、水圧ポンプなど正しく設計された道具を使うことが重要です。
また、日頃から過剰なトイレットペーパーの使用を控えたり、流せるシートの扱いに注意することで、詰まりの予防にもつながります。

自力での解消が難しい場合や、水が逆流する恐れがあるときは、早めに専門の水道業者に相談することをおすすめします。