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冬場や寒冷地で起こりやすいのが、水道管の凍結です。
水道管凍結の大きな理由は気温の低下ですが、じつは凍結が起きやすい場所や条件も存在します。
本記事では、「水道管が凍結する原因」から「凍結が起きやすい場所や条件」について解説していきます。
凍結対策の方法や凍結の解消方法もあわせてご覧ください。
いつも通り蛇口をひねっても、水が出てこない…。
冷え込んだ冬の朝、こんなことが起きるとがっくりきてしまいますよね。
水道管の凍結はなぜ起きるのでしょうか?
水道管の凍結が起きる原因は、外気温がマイナスになることです。
地中や家の中にある水道管の中には常に水が溜まっているため、気温が下がるとその水が凍結してしまうというわけです。
水道管に外気からの風が吹き込んだり、外気に直接触れる場所にあったりすると凍結しやすいといえます。
水道管の凍結は、雪が降る地域だけの話だと思っていませんか?
じつは、条件によっては関東や西日本で凍結が起きることもあります。
水道管の凍結が起きやすい条件は次のとおりです。
1つ目は、外気温がマイナス4℃以下になることです。
「水は0℃になると凍る」というイメージがあるかと思いますが、水道管の中の水が実際に凍り始めるのは「マイナス4℃以下」が目安になります。
関東や西日本でも、雪が降るほど冷え込む日がシーズン中数回はありますよね。
「水道管まで凍るわけがない」と思っていても、実際に凍結するリスクはあるのです。
冬の寒い時期に長期間水を使わないことも、凍結のリスクが高まる要因です。
水道管の中の水が動かずにずっと溜まっていると、流れている状態よりも凍結しやすくなります。
最高気温が0℃を超えない日を「真冬日」と言いますが、寒い地域では最高気温・最低気温ともにマイナスということもよくある話です。
最高気温が高ければ日中に水道管内の水も温まりますが、日中でも気温が上がらなければ当然、凍結するリスクは高くなります。
凍結には、水道管がある場所も大きく関係しています。
具体的に、水道管が凍結しやすい場所は次のとおりです。
まずは日が当たらない・風当たりが強い場所です。
具体的には次のような場所が考えられます。
日が当たらないと、想像以上に気温は下がりやすくなります。
日が当たる場所に水道管があれば、夜から朝にかけて冷えても日中にある程度温められるため、凍結まで至る可能性は低くなるでしょう。
これに対し、日が当たらない場所では日中の間に水道管が十分に温められず「凍結しやすい状態」になり、夜〜朝に凍ってしまいやすいのです。
また、風当たりが強い場所ではマイナス1〜2度程度でも凍結する恐れがあるため注意が必要です。
水道管の多くは地中や床下、壁の中にあります。
しかし、マンションの屋上のタンクまわりなどでむき出しになっている水道管もまれに存在します。
建物の外壁などに接していると外気の影響を受けやすいため、凍結の危険性が高くなるのです。
庭や駐車場など、屋外で水道を使用するための立水栓も、凍結しやすい場所だといえます。
立水栓は地中に埋まっておらずむき出し状態なので、地表面の気温に影響されやすいのです。
また、使用するたびに水道管内の水が抜けるため、再び水を出そうとしても水道管内に水がたまっていない場合があり、そのまま水が凍結してしまうことがあります。
意外ですが、給湯器も凍結しやすい場所のひとつです。
給湯器は水道管からの水を沸かすための機械のため、水道管に直接接続されています。
そのため配管の中には使用後も水が残っている、というのが理由のひとつ。
もうひとつは、給湯器が屋外にあるとつながっている水道管もむき出しになるので、連動して凍結しやすくなることが原因です。
水道管が凍結してしまったら、次の5つの手段を試してみてください。
原始的な方法ですが、気温が上がってくる日中まで待つという方法です。
気温が上がれば自然に凍結が解けるため、追加の費用や準備も必要なく、水道管が傷つく心配もありません。
ただしどれくらい待てば解けるという確証はなく、気温が上がらなければ状況が長引く可能性もあります。
また凍結した状態で長く置いてしまうと、水道管の破裂を引き起こすリスクが高まります。
そのため時間のあるときや、しばらく水を使わなくても困らない状況のときに試すのがおすすめです。
50度ほどのぬるま湯をタオルにしみ込ませて水道管に巻きつけたり、ぬるま湯をゆっくりかけたりして温める方法です。
タオルで包んだ水道管の周りに熱がじんわりと加わり、凍結した水を溶かすのに役立ちます。
途中で何度か蛇口をひねってみて、水が出るか確認しながら続けましょう。
お湯を沸かしたり、冷めたら巻き直したりと手間はかかるものの、手軽にできて軽い凍結であれば早く解消しやすいのがメリットです。
お湯をかける場所は、蛇口やメーターの両側にあるパイプ部分です。
破損につながるため、間違ってもメーターにはかけないでくださいね。
ぬるま湯とタオルを使うのと同じ原理で、カイロを水道管にあてるのも有効です。
水道管周辺の温度を上げることで凍結解消をうながし、放置しておけるのも嬉しいポイント。
ただし凍ってしまった場所や量によっては、たくさんのカイロを消費する可能性もあります。
また、温めすぎて火災や火傷などを起こさないよう注意しましょう。
ドライヤーの熱風を水道管にあてることで、凍結を解消する方法です。
強力な熱風を出すことで解けやすくなるものの、火気には注意してください。
また持っているドライヤーのパワーによっては、あまり効果がない場合もあるため注意しましょう。
どうしても解けないときは、水道修理業者に頼んで解凍してもらう方法もあります。
これは電気解氷機や高温スチーム機を使用して解凍を行うもので、費用はおよそ8,000円〜20,000円程度が相場です。
ただ「水道管を温める作業」としてはやることはそう変わらないので、業者に頼むのは最後の手段にして、まずは自力で対処してみるのがおすすめです。
反対に、水道管が凍結したときにやってはいけない対処法は次の2つです。
慌てていると深く考えず、ケトルのお湯を直接かけて解かそうとしてしまうかもしれません。
しかしガラスのコップに熱湯を注ぐと割れてしまうのと同じで、急激な温度変化によって水道管が破裂する可能性があります。
また塩化ビニール製の水道管の耐熱温度は70〜80度程度のため、熱湯によって水道管の損傷を引き起こすことも考えられます。
さらに火傷の恐れもあり、危険しかないので絶対にやめましょう。
あくまで使用するのは50度程度のぬるま湯にし、直接ではなくタオルにしみこませて温めるようにしてください。
水道管だけでなく蛇口まで凍ってしまったときは、開けようとしても蛇口が動かないことがあります。
寝起きなど凍結に気づかないまま無理やり開けようとすると、内部のゴムパッキンが破損してしまう可能性もあります。
蛇口も水道管同様、タオルやカイロなどで少しずつ解かすようにしましょう。
賃貸住宅で水道管が凍結した場合は、すぐに大家さんや管理会社に相談するのがおすすめです。
気が引けるかもしれませんが、放置して水道管の破裂など大ごとになっては元も子もありません。
大家さんや管理会社は多くの場合、水道管の凍結を防ぐための対策や、凍結が起こった場合の対応方法について知識や経験が豊富です。
さらに修理業者の情報も持っている場合が多いため、素人が下手に対処するよりもよほど力になってくれるでしょう。
では、水道管の凍結を起こさないためにはどうしたらいいのでしょうか?
凍結を起こさないためのチェックポイントを知り、気温が大きく下がりそうなときは前もって対策をとっておくことで、水道管の凍結を防ぐことにつながります。
まずは水道管の凍結対策を5つご紹介します。
さきほど、凍結してしまったときにタオルやカイロで温めたように、保温材を使って水道管を寒さから守ることも有効です。
一般的には次のような断熱材が使われ、専用の商品も市販されています。
これらの素材でできた保温材を使うことで水道管の表面温度を上げれば、凍結の予防につながります。
内側が保温材、外側が塩化ビニールになっている素材であれば、外で使っても雨から守ってくれるため便利です。
費用を抑えたい場合は使い古したタオルを巻き、ビニールテープでおさえるという簡易的な処置でも一定の効果は得られます。
雨や雪にも対応できるよう、ビニール袋などをうまく利用しましょう。
水道管だけでなく、蛇口にも保温カバーをつけるのがおすすめです。
蛇口用の凍結防止・保温カバーとして、ホームセンターなどで市販されています。
また、コックヒーターという名前の蛇口用のコンパクトなヒーターもありますよ。
気温がマイナスになることが多い地域なら、凍結防止ヒーターを使うのも有効です。
水道管にあらかじめ専用のヒーターを巻きつけておくことで、冬の間はスイッチを入れて常に水道管を温めておけます。
当然ながら、それだけ電気代はかかるので注意は必要です。
旅行で家をあける・特に冷え込む前日などは、水抜き栓を利用して凍結を防ぎましょう。
水抜き栓はその名のとおり家の中の水道管から水を抜くための装置で、寒い地域の住宅には標準で設置されています。
あらかじめ水道管の中から水を抜いておけば、凍結してしまう心配もなく、もっとも効果的な方法です。
使い方は難しくなく、バルブやハンドルを右回りに最後までまわして水を抜き、また水を通したいときは左回りにまわすだけです。
手動式のほかに電動式もあります。
ただし何度も行うとその分手間がかかることや、水を抜いている間は水道も使えない点には注意しましょう。
蛇口から細い線状程度に水を出しておくことで、凍結を防止できます。
「ポタポタ」程度では効果がなく、ある程度の量を出し続ける必要があるため、水道代との兼ね合いから長期間での利用には向いていません。
「一晩だけ水抜きをするほどでもないが念のために」というときには手軽な方法ですが、冷え込みが強力すぎると効果がないため気をつけましょう。
せっかくならバケツなどで流した水を受けてためておき、洗濯などに利用すると効率がいいですね。
給湯器の追い焚き装置を一晩つけっぱなしにしておくのも有効です。
給湯器やボイラーも、寒さによる凍結の恐れがあるためです。
設定温度は35度程度に下げ、自動で追い焚きをしてくれる設定にしておきましょう。
浴槽のお湯は循環口の5センチ上程度まであれば大丈夫です。
また給湯器の電源を入れておくと凍結防止ヒーターが連動して動くタイプもあるため、給湯器のタイプをまずは確認してみてもいいですね。
つぎに、水道管の凍結を起こさないための点検ポイントを見ていきましょう。
むき出しになっている水道管があれば、風や寒さから守るために保温材を巻くなどの対策が必要です。
屋内はもちろん、屋外にむき出しの水道管がある場合は優先的に対処しましょう。
「すでに保温材を巻いてあるから大丈夫」と思う場所も、あらためてチェックしてみましょう。
もし保温材やカバーが破れていると効果が薄れたり、保温効果がなくなったりしてしまいます。
消耗品なので定期的なチェック・交換がおすすめです。
水抜き栓は水道管から水を抜いて凍結を防ぐための装置ですが、いざ使おうと思ったときに異常があっては困りますよね。
住宅に水抜き栓が設置してある場合は、定期的に点検を行いましょう。
水道管が凍結したまま放置すると、どうなると思いますか?
じつは水は凍ると膨らむ性質があるため、水道管に圧力がかかり破裂する恐れがあります。
ひとたび水道管が破裂してしまえば大量の水が吹き出し、家具や家電に被害が出るだけでなく、階下の住人や近所にも迷惑がかかる可能性があります。
また水道管の修理費用も高額になるため、とにかく凍結してしまった時点で放置せずに対処することが大切です。
実際に水道管が破裂してしまったとき、早急にやるべき対処法をまとめました。
まずは水漏れを止めるため、大元の元栓を閉めましょう。
元栓は水道メーターの近くにある場合が多いです。
集合住宅の場合は玄関の扉付近に鉄扉があるため、バルブやハンドルをまわして閉めます。
戸建ての場合は玄関横のメーターボックスや、地中に埋まっていることが多いです。
見つけたら、バルブやハンドルをまわして閉めてください。
もし大本の元栓が見つけられない場合、トイレ・お風呂場・台所など各水回りにも止水栓がついているため、破裂した場所に応じて部分的に水を止めることも可能です。
元栓を閉めて水を止めたら、次は応急処置をします。
破裂した場所にテープを巻きつけて補修しましょう。
なるべくきつく巻きつけるのがポイントです。
水に強いテープはホームセンターなどで手に入ります。
元栓を閉めても急には水は止まらないので、テープの上からタオルを巻き、バケツで水を受けておくといいですね。
ここまで対処したあとは、専門の水道業者へ連絡して修理してもらいましょう。
蛇口などの簡単な破損と違い、水道管の破裂ともなれば専門的な知識や技術が欠かせません。
素人がやろうとするとうまく直せないばかりか、二次被害が起きる可能性もあります。
地元に必ず「指定給水装置工事事業者」がいるはずです。
わからない場合は、自治体や水道局に相談してみてもいいですね。
見積もりだけなら無料という業者もあるため、複数の業者を比較するなどして、信頼できる業者へ修理を頼むのがおすすめです。
専門業者を呼ぶとなると、修理費用や相場が気になりますよね。
水道管が破裂した場合、次のような要因によって費用は大きく変動します。
そのため一概には言えませんが、一般的には数万円〜数十万円かかると思っておいたほうがいいでしょう。
修理内容別の費用・相場は次のとおりです。
修理内容 | 費用・相場 |
---|---|
水道管の補修(見える場所) | 20,000円〜 |
水道管の補修(外から見えない場所) | 30,000円〜 |
水道管の部分的な交換 | 50,000万円〜150,000円 |
水道管の全面的な交換 | 200,000円〜500,000円 |
壁や床の修復 | 50,000円〜300,000円 |
水道管が破裂して水漏れが起きると、被害が家具・家電、壁や床にまで及ぶことがあります。
業者を呼んだら数十万円を請求された…というケースは珍しくありません。
そんなとき、修理費用・料金を軽減する方法がいくつかあるため見ていきましょう。
自治体によっては、水道料金の減免制度が設けられている場合があります。
「対策をとっていたが破裂してしまった」など、自分に非がないと認められた場合、水道料金の減免が認められる可能性があります。
また収入や世帯構成に応じて減免されることもあるので、一度自治体や水道局に問い合わせてみるのがおすすめです。
水害によって家屋に被害が発生した場合は、火災保険で補償される場合があります。
火災保険は家屋に対する火災や地震、自然災害などによる損害をカバーする保険です。
このうち台風や大雨など、水害による被害も含まれることがあり、火災保険の種類によっては補償される可能性があります。
保険料や免責金額によっても金額が異なるため、契約内容をよく確認してみましょう。
本記事では、水道管の凍結の原因や凍結したときの対処法、凍結させないための対策についてお伝えしました。
雪国に住んでいる人間にとって、水道管の凍結は決して他人事ではありません。
気温がマイナス4度を下回るような日が続く場合、保温カバーやヒーターを使うなどして対策しておくのがおすすめです。
もし凍結してしまった場合は、ぬるま湯につけたタオルを巻くなどしてゆっくりと温めるようにし、熱湯を直接かけたりしないようにしてください。
ひとたび水道管が凍結してしまうと、解かすのに手間もお金もかかってしまう上、放置すれば水道管の破裂にもつながります。
そうなれば修理には莫大な費用がかかることになるため、凍結させないための対策が必要不可欠なのです。
2018年の冬には、大寒波によって関東でも水道が凍る例が相次ぎました。
凍結が起きやすい場所や条件、凍結時の解消方法をあらかじめ把握しておき、慌てず対処できるよう準備しておきましょう!