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自宅の敷地内に小さめのマンホールを見かけたことがある方は多いでしょう。
正確には「桝(ます)」と呼ばれる排水設備です。
「桝」は下水設備には重要な役割を持っており、定期的にメンテナンスを行わないと汚水が溢れてくることがあります。
この記事では、マンホール(桝)の役割やメンテナンス方法について解説していきます。
マンホールは人(man)が入れるほどの深さのある穴(hole)のことで、日本語では「桝(ます)」とも呼ばれます。
どの家庭にも必ずあるものですが、普段は蓋部分のみを目にするだけで、マンホールについて深く考えることはあまりないかもしれません。
では、マンホールが設置される理由をご存じでしょうか?
理由は主に次の2つです。
マンホールは、下水道のアクセスポイントとして必ず必要なものです。
自宅で下水道設備が使えるのは、各家庭にマンホールがあるおかげともいえます。
中に人が入って下水道管の点検と修理を行うためにも、マンホールは必要です。
排水つまりや汚水が溢れるといったトラブルが起きないよう、また実際に起きたときに対処できるよう、マンホールは必要不可欠なものなのです。
マンホールの種類は、次の5つに大別されます。
それぞれの桝の特徴や設置場所について、くわしく解説しますね。
汚水桝は、生活排水や下水道の流れる汚水を処理するために設置されるマンホールです。
一般的に住宅地や商業地域、工業地域などで見られ、インバート桝とも呼ばれます。
自宅の庭で見るマンホールのほとんどは、この汚水桝に該当します。
泥や異物が沈殿しやすい設計になっているのが特徴です。
汚水桝は、キッチンや洗面所、浴室などからの排水を受け、排水処理施設や下水道へ流入する前に汚水を適切に処理する役割を担います。
下水道システムの効率的な運用のために、なくてはならないマンホールです。
公共桝は、敷地内の排水が最終的に集まる場所にある桝のことです。
そのため、最終桝とも呼ばれます。
公共桝の先は公共の下水道へとつながっています。
雨水桝は、雨水の排水や管理のため、雨水管に設置されるマンホールです。
下水管に直接つながる非浸透式と、雨水を地面へ流し、枯れ葉などの異物だけを沈殿させる浸透式があります。
雨水桝は、豪雨時や雨水の処理が必要な場合に使用され、雨水を効率的に排水し浸水被害を防ぐのが主な役割です。
会所桝は、道路の交差点や住宅地の分岐点など、配管の経路が変わる箇所に設置されます。
水と一緒に流れてきた泥や異物を沈殿させ、水だけを流すよう設計されています。
H3.泥溜桝の特徴と設置場所
泥溜桝は、排水中の泥や汚れを集めるため、排水管の途中に設置されるマンホールです。
主に下水道の傾斜や流れが緩やかな箇所や、凝集性の高い汚泥が発生しやすい地域に設けられます。
沈殿物の取り除きやメンテナンスを目的としているため、定期的な清掃や泥の排出が行われます。
ドロップ桝は、建物や敷地内の下水道と、公共の下水道とを接続するために設けられるマンホールです。
敷地内の高低差がある場所で、適正な勾配をつけるために使用されます。
建物からの下水を効率的に公共の下水道に接続する役割を果たし、建物内の排水システムの効果的な機能を支えています。
日常的に使用されるマンホールは、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
以下では、対処が必要なマンホールの主なトラブルについて解説します。
マンホール周辺の下水が詰まると、汚水が溢れてくることがあります。
主な原因は次のとおりです。
排水桝には生活排水と一緒に髪の毛やゴミ、油汚れも集まってくるため、詰まりがおきやすいです。
また、老朽化で流れが悪くなるのも要因の一つです。
これらの問題には、以下の対処法をとりましょう。
マンホールの周りから異臭がする場合は、下水や排水系統に問題があるかもしれません。
異臭が発生する主な原因は次のとおりです。
普段はしない不快な臭いが発生しているなら、詰まりが起きている可能性が高いです。
これらの問題には、以下の対処法をとりましょう。
マンホールの蓋や本体が破損していると、安全性に問題が出たり、機能低下の原因になったりするため注意が必要です。
破損の原因として考えられることは次のとおりです。
マンホールの蓋は、塩ビ製やレジコン製など耐久性の高い素材のものが多いですが、台風や大雨、重いものの落下などの衝撃で割れることがあります。
もし老朽化が進んでいれば、なおさら壊れやすい状態にあるといえます。
これらの問題には、以下の対処法をとってください。
蓋が割れたまま放置すると落ち葉や害虫が侵入し、詰まりの原因になる可能性があるため注意しましょう。
マンホールには、稀に木の根が侵入してきてしまうことがあります。
原因として考えられることは次のとおりです。
木の根の侵入は、下水パイプや排水管路の損傷、詰まりを引き起こす恐れがあるため、早めに次のような対処をしましょう。
マンホールの管理区分は、桝の種類によって変わります。
基本的には次のとおりです。
それぞれくわしく解説しますね。
道路や公共施設など、自宅敷地外のマンホールは主に自治体がメンテナンスを行います。
一方、敷地内のマンホールは自宅の所有者に責任があります。
そのため、メンテナンスも自分で行わなければなりません。
自宅敷地内のマンホールで、定期的に必要になるメンテナンスは次のとおりです。
所有者はマンホールの状態を定期的に確認し、安全対策を講じながら適切にメンテナンスして、正常な状態を維持しなければなりません。
アパートやマンションの場合は、大家さんや管理会社で管理してくれているため心配はないでしょう。
戸建ての場合は、自分がメンテナンスを怠ると詰まりが起きやすくなるため注意が必要です。
ただし例外として、水道メーターや元栓がついているマンホールの場合は水道局が管理しています。
そのため、水道メーターの故障などであれば水道局で対応してもらえますよ。
一方、公共の道路や公共施設に設置されている公共桝は、役所の所有物とみなされます。
公共の利益を保護するため、次のような管理業務が生じます。
もし自宅敷地外のマンホールで問題やトラブルがあったら、まずは自治体や役所に報告しましょう。
役所関係者には、適切な対処と安全を確保するための措置が求められます。
このように、マンホールの管理区分は所有者によって異なります。
もしマンホールのトラブルが起きた場合、まずは管理区分がどこなのかを確認するようにしましょう。
自宅のマンホールでトラブルが起きた場合は、掃除が必要です。
排水つまりで不快な臭いがしたり、汚水が溢れたりすることもあるため、効果的な掃除の方法について知っておきましょう。
マンホールの掃除に必要な道具は次のとおりです。
道具の種類 | 使用目的 |
---|---|
ドライバー | マンホールの蓋を開ける |
ブラシ | 手の届く範囲を掃除する |
スコップ(ショベル) | 手の届かない範囲を掃除する |
バケツ | ごみ袋をつけてゴミを受ける |
ざる | ゴミの水を切る |
ごみ袋 | 取り除いたゴミや汚泥を入れる |
洗剤 | 油分やヘドロを除去する |
ホース | 水を使ってマンホールを洗浄する |
安全手袋と保護メガネ | 安全を確保する |
高圧洗浄機(ある場合) | より強力にゴミを洗い流す |
汚れてもいい服装 | ジャンパー、長靴など |
これらの道具を使い、効率的かつ安全に掃除を行いましょう。
マンホールを掃除する手順は次のとおりです。
まずは敷地内で掃除するマンホールを決めます。
汚臭やつまりがある場合は、原因となっているマンホールを特定しましょう。
次に、ドライバーなどを使ってマンホールの蓋を開けます。
安全のため、手袋と保護メガネを装着しておいてください。
臭いがきつい場合はマスクをつけておくのもいいでしょう。
マンホール内を確認し、大きなゴミや汚泥がある場合は取り除きます。
大きさに寄ってスコップやショベルを使用しましょう。
いったんバケツにざるをはめてゴミを受け、水を切ってからゴミ袋に入れていきます。
廃棄物は、自治体の分別方法に従って処理してくださいね。
ブラシを使って、手の届く範囲を丁寧に掃除しましょう。
表面の汚れや、壁沿いに固くこびりついた汚物を取り除いていきます。
油分やヘドロがある部分には、洗剤を使用してください。
ひととおり掃除し終えたら、ホースの水で内部を洗い流します。
流れ出た汚水や汚泥は、周囲の排水口や排水路に流すようにしましょう。
このとき、必ず下流から上流に向かって行ってください。
また、洗浄中には周りに人がいないか、汚物が飛んで困るものがないか必ず確認しましょう。
もしホースの水では流せないようなら、家庭用の高圧洗浄機を使用すると、より強力な水圧でマンホールの洗浄が可能です。
水流を直接マンホール内には向けないように気をつけながら、マンホールの周囲や内部を洗浄しましょう。
部分的に固着した汚れには、高圧洗浄機の噴射パターンや強度を調整することで対処できます。
周囲の人や物に水圧が直撃すると危険なため、注意しながら作業してください。
自宅マンホールに汚れを溜めないためには、定期的なメンテナンスを行うことが大切です。
では、どれくらいの頻度で掃除をしたらいいのでしょうか?
一般的には季節ごとに掃除を行うのが目安です。
具体的には次のような頻度がおすすめです。
• 春:1回
• 夏:2回
• 秋:1回
• 冬:1回
基本的に各季節ごとに1回程度ですが、夏は気温の上昇で臭いが気になりやすいため、ほかの季節と比べて多めに掃除するといいでしょう。
このうち年1回程度は業者に定期メンテナンスに来てもらい、高圧洗浄機を使って掃除してもらうのがおすすめです。
季節以外にも、次のような要因があれば掃除の頻度を増やしてください。
自宅敷地内のマンホールを清潔に保つためには、定期的な掃除スケジュールを立て、適切なタイミングでメンテナンスを行いましょう。
マンホールの中は、普段目には見えない部分です。
そのためマンホールの掃除を怠ると、気づかないうちにさまざまな問題やリスクが発生する可能性があります。
主な問題とリスクについて、以下でくわしく解説しますね。
マンホールの中にゴミや汚泥が溜まると、スムーズな排水を邪魔する原因になります。
すると、普段生活していても排水つまりが起きやすくなってきます。
具体的にはトイレの水が逆流したり、お風呂やキッチンの排水口から水が溢れてきたりしたら危険信号です。
ひどい場合は、ラバーカップを使っても詰まりが解消しなくなってしまいます。
排水つまりを放置し、マンホールの中に溜まった汚水や汚物が増え続けると、最終的には排水桝から溢れてしまう可能性があります。
すると下水や雨水が建物内または敷地内に逆流し、浸水や水害のリスクが高まります。
こうなると敷地内や周囲の環境に悪影響を及ぼすだけでなく、悪臭や衛生上の問題も引き起こしかねません。
専門業者に掃除を依頼する手間やお金もかかるため、排水つまりが起きやすくなった時点で速やかに対処するようにしましょう。
マンホールの掃除を怠ると、排水桝の劣化や破損に気づくのが遅れることがあります。
汚れや堆積物が溜まり続けることで、マンホールの構造や材料に影響を与え、腐食や劣化を引き起こす可能性があります。
そして劣化や破損が進行すると、修理や交換が必要となってしまい、余計な費用や手間が増えてしまうことに。
定期的な掃除と点検を行うことで、これらの問題を予防し、マンホールの適切な機能と耐久性を維持するよう心がけましょう。
こんな場合は、業者に依頼するのもひとつの方法です。
業者に依頼する場合の、一般的なメンテナンス内容と費用相場は次のとおりです。
メンテナンス内容 | 費用相場 |
---|---|
マンホール清掃(定期メンテナンス) | 5,000円〜20,000円 |
マンホール蓋交換 | 10,000円〜30,000円 |
マンホール本体修理 | 20,000円〜50,000円以上 |
マンホール本体交換 | 50,000円〜100,000円以上 |
費用は、マンホールの種類・サイズ・状態・作業内容などで変動します。
また、業者の技術力や地域の価格水準にも影響されるため、あくまで目安として考えてください。
業者に依頼する際は複数の業者から見積もりを取り、費用とサービス内容を比較するようにしましょう。
安ければ安いほどいいというわけではなく、技術力も大切な要素のため、信頼性や評判・実績も考慮して選んでくださいね。
自宅敷地内のマンホールが破損した場合、対処方法は破損の範囲によって異なります。
以下では、蓋の破損・本体の破損が起きた場合について、それぞれくわしく解説します。
マンホールの蓋のみが破損している場合は、自分で交換が可能です。
重さこそありますが、作業としては比較的簡単に行えますよ。
まずはマンホールの蓋のサイズと仕様を確認します。正確なサイズや形状を把握するために、破損した蓋を測定しましょう。
つづいて、ホームセンターなどで適したサイズのマンホールの蓋を購入します。
ネットショップでも買えますが、重量と大きさがあり送料が高くなってしまうことや、サイズの確認が重要なことから、近場で買うのがおすすめです。
マンホールの蓋は、一般的には5,000円〜20,000円程度で購入できます。
ただし、特殊なサイズや素材を必要とする場合は、それ以上の価格になることもあるため注意してください。
蓋と違い、本体の修理には専門知識と適切な道具が必要なため、自分で行うことは難しいです。
マンホールの本体が破損していて修理が必要な場合は、水道業者や専門の業者に依頼するのがおすすめです。
マンホール本体の修理費用の相場は、10,000円〜30,000円程度が目安です。
ただし、修理内容やマンホールの種類、破損状態によっても費用は変動するため、事前に複数の業者から見積もりを取って検討するのがおすすめです。
この記事では、自宅敷地内にマンホールがある理由やその種類、メンテナンスの重要性、トラブルや破損時の対処方法について解説しました。
自宅敷地内のマンホールは、排水や下水道のスムーズな機能を維持するために重要な役割を果たしています。
そのため、定期的な掃除や点検を行い、トラブルや破損に早く気づくことが大切です。
また、自分でできる簡単なメンテナンスや蓋の交換も積極的に行いましょう。
もし破損やトラブルが発生した場合は、適切な業者に依頼してください。
業者に依頼する際は費用や信頼性などを考慮し、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
マンホールのメンテナンスと管理は、快適な生活環境を維持するために大切です。
定期的なメンテナンスによってトラブルやリスクを予防し、私たちが安心で快適な生活を送ることにつながります。
定期的な点検や清掃、必要に応じた修理や業者への依頼を行い、マンホールの健全な状態を保つことを心がけましょう!