ウォーターハンマーってなに？発生する原因と対策を解説

ウォーターハンマーという言葉に聞き覚えがある方は少ないでしょう。

ウォーターハンマーとは簡単にいうと水道管を流れる水に何らかの理由で圧力がかかり衝撃音が発生してしまう現象の事です。

ウォーターハンマーを放置してしまうと「設備の破損や水漏れ」が起きてしまうので対処は必須です。

本記事では「ウォーターハンマーが起きる原因や被害」「ウォーターハンマーへの対処法」について詳しく解説していきます。

ウォーターハンマーとはどんな現象？

ウォーターハンマー現象とは、水を止める際に「ドンッ」という鈍い音が響くことをいいます。

水回りを使用していて聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

ここからは、ウォーターハンマーが起きるメカニズムについて解説します。

ウォーターハンマー現象には2つの種類があるので、合わせてご紹介します。

マンションやアパートなどの集合住宅で隣から聞こえてきた経験があるかもしれません。

近所迷惑だなと、思われた方もいるでしょう。

気をつけていても起きることがあるので、わざと騒音を出しているわけではありません。

逆にこちらがウォーターハンマー現象を起こして、クレームがくることもあるでしょう。

メカニズムを知っておくことで、勘違いも防げますので、参考にしてください。

ウォーターハンマーが起きるメカニズム

ウォーターハンマーは、水流の急な変化による圧力の上昇または下降が原因で起きます。

一定に流れていた水を急に止めることによって、圧力が上昇してしまいます。

電車内で起きる、慣性の法則が働くのを想像してみてください。

一定の動きで安定していた車内に、急ブレーキがかかることがあります。

車内の人々がバランスを崩して倒れそうになってしまうことが予想できるでしょう。

排水管の中で、水に同じような影響が及んで衝撃音が発生します。

逃げ場を失った圧力同士がぶつかってしまうことで起きる現象です。

ウォーターハンマーには2つの種類がある

ひとことで、ウォーターハンマーといっても、2つの種類が存在します。

それぞれについて詳しく解説します。

起きている現象がどちらに当てはまるのか、確認してみましょう。

圧力上昇

圧力上昇によるウォーターハンマーは、レバータイプの水栓で起きます。

例をあげると、シングルレバー水栓を勢いよくとめたときに衝撃音がでます。

これは圧力が上昇したことが原因で起きている、ウォーターハンマーです。

一定に流れていた水の運動エネルギーが圧力に変化して衝撃を発生させます。

大きな衝撃が配管内にぶつかることで「ドンッ」という音がでます。

集合住宅では、衝撃音が大きく響き渡るので注意が必要です。

シングルレバーをとめたときに、「ドンッ」と音がなったら圧力上昇である場合が多いです。

水柱分離

2つめは、水柱分離が原因でおきるウォーターハンマー現象です。

一定に流れていた水が急に止まると、圧力が下がる箇所が発生します。

下がった箇所に勢いよく水が流れて、衝撃音が生じてしまうので注意が必要です。

これら一連の流れを、水柱分離によるウォーターハンマー現象とよびます。

衝撃音が一度ではなく、複数回になる場合があります。

一箇所目で起きた現象が原因で、複数箇所に及んでいる可能性が高いです。

排水管の中の圧力が安定していないので、危険な状態といえるでしょう。

遠くまで伝わる音なので、騒音トラブルに繋がってしまう恐れもあります。

ウォーターハンマーが起きる3つの要因

ウォーターハンマーは、なぜ起きてしまうのか、疑問に思う方も多いでしょう。

普通に使用しているだけなのに、ある日突然異音がして驚くことがあります。

ウォーターハンマーが起きる主な要因は以下の3つです。

理解するのがむずかしい現象ですが、要因を知っておくことで、対策ができます。

1つずつ詳しく解説しますので、参考にしてください。

給水量の増加で水圧も変動した

給水量の増加は、水圧も変動してウォーターハンマー現象の要因になります。

蛇口をひねると、常に一定の量の水が配管内を流れていることをご存知でしょうか。

配管内の給水量が増加すると、運動エネルギー量も上がります。

急に水を止めることで、運動エネルギーが水圧に変化して衝撃音が発生します。

給水量が増加した原因を探して、対策をする必要があるでしょう。

配管内を見ることはできないので、給水量の増加に気づくのに遅れます。

衝撃音が鳴ったらすぐに対処する必要があるでしょう。

水の勢いを吸収する水撃防止器の不具合

水の勢いを吸収する水撃防止器の不具合がウォーターハンマー現象の要因になります。

もともと、衝撃を防止する器具が設置されている場合があります。

ずっと使えるものではないので、毎日の使用で劣化していくでしょう。

長く使用していると、不具合が起きるのは仕方がないことです。

水撃防止器を設置したばかりであれば不良品の可能性があります。

新しいものに取り替えることで、改善できる場合があるので検討してみてください。

配管引替工事の影響

配管引替工事の影響で、ウォーターハンマー現象の要因になります。

工事を行った影響で、水量が増加している可能性があるので確認が必要です。

水量の増加は、ウォーターハンマー現象を起こす要因になります。

水の運動エネルギーは、急に止まると圧力に変化して衝撃音を起こします。

思い当たる節がないのに、ウォーターハンマー現象が起きることがあるかもしれません。

近くで工事が行われていないか確認してみましょう。

ウォーターハンマーが起きるとどんな症状が出るの？

ウォーターハンマーかどうか判断が出来ないという方もいらっしゃるでしょう。

ウォーターハンマーが起きるとどんな症状が出るのか？疑問に思うかもしれません。

または、急に衝撃音が鳴り出して驚かれることもあるでしょう。

「ドンっ」と聞こえたら、ウォーターハンマーが原因である可能性が高いです。

修理を依頼しようかなど、さまざまなことを考える必要があります。

ここからは、ウォーターハンマー現象の症状を詳しく解説します。

異変が起きた際の、参考にしてください。

よくある3つの事例

よくある3つの事例は、以下のとおりです。

前もって知っておくと、すぐにウォーターハンマーだと判断できます。

参考にしてください。

洗濯機を使うとドンっと音がする

洗濯機を使う際に、ドンっと音がするのはウォーターハンマーの症状です。

全自動洗濯機は、他の水回りと違って蛇口が自動で閉まります。

ウォーターハンマーは起きやすいといえるでしょう。

蛇口が全開になっている場合が多いので、少し締めると改善します。

洗濯機の給水ホースと繋がっている蛇口の調節を、一度試してみてください。

衝撃音が止まらず、改善しなければ、他の理由が考えられます。

修理業者に相談するといいでしょう。

キッチン蛇口の水を止めるとドンっと音がする

キッチンの蛇口の水を止める際に、ドンっと音がするのはウォーターハンマーの症状です。

シングルレバー水栓で起きやすいです。

蛇口の水を勢いよくとめてしまう方が多いかもしれません。

台所で忙しく洗い物などをしていると、つい乱暴に止めてしまうこともあるでしょう。

回すタイプの蛇口であれば、徐々に水量をとめるので起きにくいです。

しかし、最近の住宅ではレバータイプの水栓ばかりです。

ウォーターハンマーを防ぐために、水栓を変更するのはむずかしいでしょう。

水道管から振動が共鳴してくる

水道管から振動が共鳴してくるのもウォーターハンマーの症状です。

遠くまで音が届くのは、水道管の振動が影響しています。

騒音トラブルに発展してしまうこともあるので注意が必要です。

自分でできるウォーターハンマーへの対処法

ウォーターハンマー現象が起きると、不快に感じる方もいらっしゃるでしょう。

なにか対処法があれば、ぜひ試してみたいと感じる方も多いはずです。

ここからは、自分でできるウォーターハンマーの対処法を3つご紹介します。

ウォーターハンマー現象が起きないように、自分で対処してみましょう。

1つずつ詳しく解説しますので、ぜひ試してみてください。

大元の元栓を少し閉める

大元の元栓を少し閉めると、給水量を減らせます。

流れる水の運動エネルギーが下がることで、ウォーターハンマーを防げるでしょう。

大元の元栓とは、家全体の水流を調節している栓のことです。

家の種類によって設置場所が違います。

大元の元栓の設置場所をそれぞれ解説します。

設置場所を知っておくことで、ウォーターハンマーだけではなくその他のトラブルにも対処できます。

慌てずに済むように確認しておくといいでしょう。

戸建ての元栓の設置場所

戸建ての元栓は、屋外に設置されています。

外に出て、足元をよく確認してみてください。

駐車場の付近などに、小さい青色の蓋のようなものを見つけることができるでしょう。

「量水器」や「バルブ」などの文字が書かれています。

蓋を開けると、中にハンドルが設置されているので確認してみましょう。

場合によっては、元栓が見えない場所に設置されていることもあります。

小さな蓋があれば開けてみると、バルブが設置されているでしょう。

時計回りに回すと、締めることができて、手で開閉可能です。

マンションの元栓の設置場所

マンションの元栓は、玄関横のメーターボックスの中に設置されています。

屋外まで行く必要がないので、見つけやすいでしょう。

開けると、ガスメーターなどと一緒にバルブが設置されています。

時計回りに回すと、閉められます。

屋外設置の元栓と同じように、手で開閉可能です。

元栓の場所を確認しておくと、水回りのトラブルが起きた時に慌てずに済みます。

ゆっくり蛇口を開け閉めする

蛇口を使用する際に、ゆっくり開け閉めすると衝撃音が起きにくいです。

ゆっくり開け閉めすると、水流の流れが急に止まるのを防げます。

ウォーターハンマー現象は、レバータイプの水栓で起きやすいです。

忙しい時など、つい乱暴に開け閉めしてしまう方が多いでしょう。

しかし、ウォーターハンマー現象が起きると危険なので意識してゆっくり開け閉めした方がいいです。

台所や洗面台など、各水回りにおいて蛇口の開け閉めはゆっくりするようにしましょう。

賃貸物件の場合は管理会社や大家さんへ相談する

賃貸物件の場合は、管理会社や大家さんへ相談してみましょう。

物件の所有者は、物件の設備を管理する義務があります。

故障や不具合に対処しなければならないということです。

また修理が必要になった場合、費用はかからない可能性が高いです。

管理会社や大家さんが負担します。

賃貸物件の契約書を確認してみてください。

また、物件に慣れている専属の業者がいるかもしれません。

ウォーターハンマー現象は、自分で修理業者を探す前に、相談してみましょう。

業者がおこなうウォーターハンマーへの対策

急に衝撃音が鳴り出すと、不安に思う方も多いのではないでしょうか。

ウォーターハンマー現象は、急に起きる場合があるので対策が必要になります。

ここからは、業者がおこなうウォーターハンマーへの対策をご紹介します。

どの対策も業者に依頼して、設置してもらう必要があります。

事前に知っておくことで、説明のときに理解しやすいです。

順番に詳しく解説しますので参考にしてください。

水撃防止器を設置する

水撃防止器を設置することで、ウォーターハンマー現象を防げます。

止水栓や蛇口に設置することで、圧力を吸収して衝撃音が抑えられます。

蛇口をゆっくり開け閉めしても、大元の元栓を少し閉めても、改善しないときに検討してみてください。

もとから設置されている場合もあるので、劣化していないか確認してみましょう。

故障や劣化が見られる場合は、新しいものに交換する必要があります。

蛇口などに設置されている水撃防止器は、自分で交換できます。

難しい場合は、業者に交換してもらうといいでしょう。

空気弁を設置する

空気弁を設置することで、ウォーターハンマー現象を防げます。

その名のとおり空気を入れたり出したり出来る、弁のことです。

配管に設置することで、水柱分離が起きた際に空気を供給できます。

空気が入ることで、水柱分離によるウォーターハンマー現象の対策になります。

フライホイールを設置する

フライホイールを設置することで、ウォーターハンマー現象を防げます。

慣性車輪と呼ばれ、ポンプをゆっくり停止させられる器具のことです。

ウォーターハンマー現象は、急に水道を止めることで圧力が上昇して起きます。

ゆっくり停止させることができれば、対策になるでしょう。

もとから設置されている場合は劣化している可能性が高いです。

修理業者に依頼して、新しいものに交換しましょう。

圧力水槽を設置する

圧力水槽を設置することで、水柱分離によるウォーターハンマー現象を防げます。

急に止まったときにポンプの代わりになるので、水の量を一定に保てます。

「圧力タンク」や「アキュムレータ」と同じものです。

設置をするには業者に依頼する必要があります。

効果が高いので、費用が高めであったり、メンテナンスが必要であったりします。

水道修理業者に相談してみましょう。

太い配管へ交換する

配管を太いものに交換することで、ウォーターハンマー現象を防げます。

細い管よりも、太い管の方が圧力を抑えられます。

ウォーターハンマー現象が起きるということは、水の流れに対して配管が細いのかもしれません。

適切な太さの配管への交換を検討してみましょう。

配管の口径の数値など、専門的な知識が必要になります。

水道修理業者に相談してみることで、わからないところを解消できるでしょう。

低い位置へ配管の取付位置を変更する

低い位置へ配管の取り付けを変更することで、ウォーターハンマー現象を防げます。

配管が高い位置にあると、水の流れが安定しにくい傾向にあります。

また、水を高い位置に引き上げる必要があるので圧力がかかりやすいです。

低い位置へ変更することで、水の流れを一定にして水圧の変化を抑えられます。

高い位置に合わせて、水を引き上げずに済む点も対策になるでしょう。

工事が必要になるので、予算が大きくなる傾向にあります。

水道修理業者に相談してみましょう。

業者にウォーターハンマーの対処を依頼した場合の費用

業者にウォーターハンマーの対処を依頼した場合の費用を解説します。

対処の内容によって、費用に幅があります。

業者に依頼した場合の内容は主に以下の2種類です。

水撃防止装置は、5,000円〜20,000円で依頼できます。

蛇口の種類によっては自分で設置も可能です。

費用を抑えたい方や、DIYが得意な方は、検討してみてもいいかもしれません。

つぎに配管本体の工事は、おおがかりになるので費用がかかります。

30,000円〜50,000円かかる場合もあるでしょう。

住宅の種類や、配管の長さによって費用が異なります。

事前に見積もり依頼をするようにしましょう。

ウォーターハンマー現象を放置した場合のリスク

「音がするだけだから」といって、放置するのは危険です。

ウォーターハンマー現象を放置することで起きる、さまざまなリスクがあります。

主なリスクは、以下の5つです。

リスクを知っておくことで、放置せず対処できます。

1つずつ詳しく解説しますので、参考にしてください。

配管の破損による水漏れ

ウォーターハンマー現象を放置すると、配管の破損による水漏れが起きます。

高い圧力で強い衝撃がかかり続けると、配管に負担がかかります。

放置すると、毎回の衝撃で配管が破損してしまうこともあるでしょう。

完全に破損すると水漏れが起きて、おおがかりな修理が必要になります。

費用も時間もかかるので、できれば避けたいはずです。

また、水漏れに気づかずカビやシロアリ被害になることもあるでしょう。

ウォーターハンマーが起きていたら、早急な対処を心がける必要があります。

配管の接続部分が緩み水漏れ

衝撃が原因で、配管の接続部分が緩んでしまい水漏れが起きます。

何度もウォーターハンマーが起きると、接続部分が徐々に緩んでいきます。

緩みから水漏れが起きてしまうので注意が必要です。

配管からの水漏れは、気づかないうちに進行していることがあります。

接続部分の緩みを締め直すことで改善できる場合が多いです。

水道修理業者に依頼する必要があります。

しかし、定期的に締め直すよりも、ウォーターハンマーへの早急な対処が必要です。

水道メーターの故障

ウォーターハンマーを放置すると、水道メーターが故障してしまう恐れがあります。

何度も振動を受けると、水道メーターにダメージがいきます。

水道局の検針で発覚することがあるかもしれません。

故障してしまうと、交換が必要になり業者に依頼する必要があります。

費用も大きくなるので、ウォーターハンマーは放置しないようにしましょう。

給湯器の電磁弁やセンサーの故障

ウォーターハンマーを放置すると、給湯器の電磁弁やセンサーの故障が起きます。

放置していると度重なる衝撃により、故障してしまいます。

ウォーターハンマーが起きていても、ほったらかしている方が多いかもしれません。

お湯の温度がなかなか上がらないなどの不具合が起きたら、故障を疑いましょう。

給湯器や電磁弁などの交換には、大きな費用がかかります。

放置せずに、水道修理業者に相談してみましょう。

騒音によるご近所トラブル

ウォーターハンマー現象は、騒音によるご近所トラブルを招いてしまいます。

遅い時間に夕食の支度をしたり、お風呂に入ったりする方もいるでしょう。

ウォーターハンマー現象が起きていると、衝撃による騒音で苦情がくることもあります。

逆に、近所の騒音をうるさいと感じることもあるでしょう。

ウォーターハンマーの衝撃音は配管を通して、遠くまできこえます。

ご近所トラブルに発展する前に、水道修理業者に相談するようにしましょう。

ウォーターハンマーは放置せず水道修理業者に相談しよう

ウォーターハンマーは、放置せず水道修理業者に相談することをおすすめします。

放置することで、さまざまなリスクが発生します。

代表的なものは配管の破損や、接続部分の水漏れです。

二重被害がうまれて、修理費用が大きくなる前に対処法を試してみてください。

配管の工事が必要になると、時間もとられてしまうので注意が必要です。

水撃防止器を設置するなどの対策を検討してみてください。

対処法の選択肢に迷ったら、水道修理業者に相談するようにしましょう。

まとめ

この記事では、ウォーターハンマー現象について解説しました。

ウォーターハンマーとは、水の流れを急に止めることによって圧力が上昇して衝撃音が発生することです。

給水量の増加で水圧が変動したり、水撃防止器の不具合などで起きます。

また、配管工事の影響で起きる場合もあるので注意が必要です。

代表的な症状は、「ドンっ」という遠くまで響く大きな音です。

騒音トラブルに発生することもあるので、対策が必要になります。

音だけだからといって放置すると、配管の損傷に繋がります。

ウォーターハンマーは放置せずにすぐに水道修理業者に相談するようにしましょう。