【必読】コンタクトレンズの正しい処分方法とは？水道・トイレに流す危険性と環境への影響

コンタクトレンズは日常生活で手軽に使える便利なアイテムですが、その後の捨て方には意外と知られていない注意点があります。

特に、使用済みのコンタクトレンズをトイレや洗面台に流してしまうと、環境や水道設備に悪影響を及ぼすことがあるのです。

実は、日本国内では年間およそ30億枚ものコンタクトレンズが出荷されており、多くが正しい方法で廃棄されていない現状があります。

日本コンタクトレンズ協会も、マイクロプラスチック問題との関連から、自治体の指示に従い適切に処理するよう呼びかけています。

なぜコンタクトレンズを水道やトイレに流してはいけないのか？

日々の生活で何気なく使っている使い捨てコンタクトレンズ。

装用後、つい洗面台やトイレに流してしまう人も少なくありません。
しかし、この「たった1枚」のレンズが、下水道や環境にとっては大きな問題の原因になっていることをご存じでしょうか？

ここからは、コンタクトレンズを流すことによる具体的なリスクとその理由について、わかりやすく解説します。

コンタクトレンズは下水処理場で分解されない理由

使い捨てコンタクトレンズの素材は主に「高分子プラスチック」。

このプラスチックは水に溶けず、下水処理場に流れても生物分解されることはありません。

そのため、処理場のフィルターをすり抜けて最終的には川や海に流れ出てしまいます。

特にコンタクトレンズのような高分子かつ耐水性のある素材は、水中や土壌では分解が進まず、環境中に長期間残存することが懸念されています。

したがって、マイクロプラスチックは「何年かかるか」というよりも、「現実的には分解されず、環境中に残り続ける」という前提で扱われています。

出典：環境省｜洗顔料や歯磨きに含まれるマイクロプラスチック問題

マイクロプラスチック問題と環境汚染の関係

コンタクトレンズが分解されずに環境中に放出されると、微小なプラスチック粒子＝マイクロプラスチックとなり、海洋生物の体内に取り込まれる恐れがあります。

海洋生物の体内に取り込まれた後、食物連鎖を通じて人間にまで影響を及ぼす恐れが指摘されています。

海外でも問題視されている「コンタクトレンズごみ」の影響

コンタクトレンズが環境に与える影響は、海外でも深刻な問題として取り上げられています。
アメリカ・アリゾナ州立大学の研究チームは2018年に、「使い捨てコンタクトレンズが水回りに流されることで、海洋マイクロプラスチック汚染の一因になっている」と警鐘を鳴らしました。

同チームの調査によれば、アメリカ国内で発生するコンタクトレンズおよびその包装材による廃棄プラスチックの総量は、年間でおよそ歯ブラシ4億本分に相当するとのこと。
レンズはサイズが小さく、気軽に流してしまいがちですが、その素材は分解されにくい高分子プラスチックであり、下水処理施設でも完全に除去できない場合があるとされています。

※1 出典：RIEF（一般社団法人 環境金融研究機構）記事より

なぜプラスチックなしのコンタクトレンズが作れないのか？

コンタクトレンズは「角膜の上に直接のせて使う」医療機器です。
そのため、非常に高い生体適合性（目に安全な素材であること）と、変形しにくく、柔らかすぎず硬すぎない弾力性が求められます。

この条件を満たすのが現在では、高分子プラスチック（ポリマー）素材しかないのです。

一部で研究は進行中（ただし実用化は遠い）

近年、欧州や日本国内の一部研究機関で「生分解性ポリマー」や「バイオ素材」を使った新しいレンズ素材の開発が始まっています。
しかし、臨床応用には安全性試験や薬事承認が必要であり、実用化にはまだ数年〜10年以上かかる見通しです。

水道業者が見るトイレ・排水管の詰まりリスク

また、水道や下水の専門家の立場からも、コンタクトレンズをトイレや洗面台に流すことはトラブルの原因です。

プラスチック素材のレンズは排水管の中で他のゴミや油脂と絡み合い、詰まりを引き起こすことがあります。

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若者・カラコンユーザーへ伝えたいエコな意識

近年、ファッション用途としてカラコンを使い始める中高生・中学生が増えています。

親世代としては、視力矯正だけでなく“使い終わった後の正しい捨て方”も教えておきたいものです。
学校や塾で「ゴミの分別・環境教育」が取り上げられる機会も多いため、家庭でも「流してはいけないもの」「自然環境を守る意識」を共有できる題材になります。

カラコンが環境に与える影響とは？

カラコン（カラーコンタクトレンズ）は、見た目の印象を変えられる便利なアイテム。

特に若い世代を中心に人気ですが、使い終わったカラコンをついトイレや洗面台に流してしまう人が少なくありません。

でも実は、この「流す」という行為が地球にとって大きな問題なんです。

カラコンも普通のコンタクトレンズと同じく、プラスチックでできているため、水に溶けず、下水処理場でも分解されません。

そのまま海や川に流れ出てしまい、小さなマイクロプラスチックとなって環境を汚染します。

SNSで広がる誤解と「正しい知識」のシェア

日本コンタクトレンズ協会の調査によれば、回答者の約20％ごみ箱以外に捨てる”経験ありとし、その中で洗面所や流し（33.3％）、トイレ（15.1％）が具体的に挙げられています。

こうした実態が、いわゆる“流してもいい派”の信憑性の根拠になることもありますが、それが正しいとは限りません。

実際、X（旧Twitter）やTikTokでは「外したレンズをトイレに流している」といった日常投稿も一定数存在します。

出典：一般社団法人日本コンタクトレンズ協会｜コンタクトレンズの正しい捨て方

「小さくて流れる」からこそ、問題が深刻

コンタクトレンズは1枚あたり直径1.4cm前後、重さにして0.02グラム程度。
一見すると「これくらい流しても大丈夫」と思うかもしれません。

しかし、問題は「量」と「性質」にあります。

日本国内だけで年間約30億枚のコンタクトレンズが出荷されており、その一部でも水に流されれば、それが積み重なってマイクロプラスチック汚染の原因になります。

コンタクトレンズの素材はポリメチルメタクリレート（PMMA）やシリコーンハイドロゲルなどの高分子プラスチック。
これらは自然界ではほとんど分解されず、処理場でも取り除きにくい素材です。

最終的にはマイクロプラスチックとして海や川に流出し、魚や海鳥の体内に蓄積される可能性があります。

むしろ、目に見えにくい小さなごみだからこそ、下水処理でも捕まえきれずに環境中へ放出されやすいのです。

身近な一歩からできる環境配慮アクション

でも、心配しないでください。環境にやさしい生活は、ちょっとした意識の変化から始められます。

こうした小さな行動が積み重なると、マイクロプラスチックの拡散を防ぐ大きな力になります。

コンタクトレンズの正しい捨て方

コンタクトレンズは小さくても、流すと環境や排水管に大きな影響を与えることがあります。
そのため、使い終わったあとは、ごみとして正しく処分することがとても大切です。

ここからは、レンズ本体・ケース・包装など、それぞれの正しい捨て方や分別のコツを紹介します。

自治体の指示に従う重要性

コンタクトレンズの廃棄に関しては、自治体ごとにごみの分別ルールが異なる場合があります。

プラスチック製品として扱われることもあれば、可燃ごみや不燃ごみとして指定される場合もあるため、まずはお住まいの自治体の指示に従うことが大切です。

日本コンタクトレンズ協会も、環境への負荷を軽減するために「自治体のルールを守って正しく廃棄してほしい」と強く呼びかけています。

自治体の公式ホームページや配布されているごみ分別カレンダーなどを参考にしましょう。

実践！おすすめの廃棄方法（ゴミ袋に包んで可燃ごみへ）

多くの自治体では、使用済みコンタクトレンズは「可燃ごみ」として処理されています。

水に流さず、必ず以下の方法で廃棄しましょう。

• 使用済みのレンズは、ティッシュやトイレットペーパーに包みます。
• 包んだレンズを小さなビニール袋やジップ袋に入れて密閉するのが理想的です。
• この袋ごと、通常の可燃ごみ袋に入れて捨ててください。

この方法なら、下水に流す心配もなく、環境への影響を最小限に抑えることができます。

特に小さなレンズは見落とされやすいので、しっかり包んでから捨てるのがポイントです。

ブリスター（容器）や包装材の分別方法

使い捨てコンタクトレンズに付いているプラスチックの容器（ブリスター）やアルミのフタは、多くの自治体で「プラスチックごみ」または「資源ごみ」として分別されています。

ただし、分別ルールは地域によって異なるため、以下の点に注意しましょう。

ブリスター容器

「プラマーク」があれば、プラごみとして出せることが多い

アルミのフタ

「金属ごみ」または「可燃ごみ」扱いになる自治体もあり

紙の外箱

紙ごみとしてリサイクル可能

排水溝へ流れてしまったコンタクトレンズの対処法

コンタクトレンズをうっかり排水溝に流してしまった場合、慌てずに以下のステップで対応しましょう。

すぐに排水を止める

コンタクトレンズが排水溝に流れてしまったと気づいたら、まずは慌てずにすぐに水を流すのをやめましょう。

水を流し続けると、レンズが配管の奥に押し流されてしまい、回収が難しくなります。

特に洗面台や浴室の排水は下水管やトラップを通って広範囲に散らばることがあるため、被害が拡大してしまう恐れがあります。
まずは使用中の蛇口を止め、詰まりやトラブルを防ぐためにも排水口の使用は控えてください。

排水口の掃除を試みる

次に、排水口のカバーやゴミ受け部分を慎重に外して中を確認します。浴室の排水口や洗面台の排水口にはトラップ（U字管）が設置されていることが多く、ここにコンタクトレンズが引っかかっている場合があります。

• 手が届く範囲であれば、手袋をはめてピンセットや割り箸を使いながら慎重に取り除いてください。
• ただし無理に奥まで手を入れるとケガや配管破損の原因となるため、見える範囲に限って行うのが安全です。
• 排水口の掃除を定期的に行っている場合は、その際に異物が見つかることもあります。

もし排水口周りで見つからなければ、無理に探そうとせずに次のステップへ進みましょう。

詰まりへの注意と薬剤の使用について

コンタクトレンズはプラスチック製のため、水に溶けずそのまま残ります。

これが他の髪の毛や油脂、石けんカスと絡まって排水管の詰まりを引き起こすことがあります。

市販のパイプクリーナー（薬剤）を使いたくなるかもしれませんが、薬剤の使用は慎重に行うべきです。

薬剤は詰まりの原因となる汚れを溶かしますが、プラスチック片は溶けません。

場合によっては薬剤がプラスチックを固め、詰まりを悪化させることもあるからです。

薬剤を使う前に、排水管内の異物を可能な限り取り除くことが先決です。

どうしても薬剤を使う場合は、使用方法をよく読み、詰まりの原因や配管の状態を考慮してから行いましょう。

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専門業者への相談方法

自分で取り出せない場合や、詰まりがひどくて水の流れが悪い・逆流している場合は、早めに専門の水道業者や排水管クリーニング業者に相談することをおすすめします。

専門業者は専用の道具（排水管カメラや高圧洗浄機）を使い、安全かつ確実に異物を取り除くことが可能です。

早期に対応することで、排水管の損傷や大きなトラブルを未然に防げます。

業者に連絡するときは、コンタクトレンズを流してしまった旨と現在の状況（詰まりの有無、水の流れ具合など）を詳しく伝えると、よりスムーズに対応してもらえます。

また、費用や対応時間の目安も事前に確認しておくと安心です。

コンタクトレンズをうっかり流さないための対策

コンタクトレンズを外すとき、ついうっかり洗面台やシンクに落としてしまう…

そんな経験はありませんか？
そのまま流れてしまうと、環境や排水設備に思わぬ影響を与えることもあります。

大切なのは、「流さない工夫」をあらかじめ取り入れておくこと。
ここでは、レンズを誤って排水に流さないための簡単で実践しやすい対策を紹介します。

洗面台や浴室の排水口にフタやネットを設置する

排水口に専用のフタやゴミ受けネットをつけると、小さな異物が流れ込むのを防げます。

取り外しや掃除も簡単なので、定期的にチェックして清潔に保つことも大切です。

洗面所の水を流す際は注意する

レンズを洗い流したり、洗面所で水を使うときは、排水口に異物が入らないよう注意を払いましょう。

レンズを洗面台に落としたら、すぐに拾うよう心がけてください。

廃棄用の小さなケースや袋を持ち歩く

外出先でコンタクトレンズを外したときに、すぐに正しく廃棄できるよう、ティッシュや小さなジップ袋を持ち歩くことをおすすめします。

トイレや洗面台に流すのを防ぎ、環境への配慮にもつながります。

コンタクトレンズの捨て方についてよくある質問

まとめ

使い捨てコンタクトレンズは便利な反面、誤った廃棄方法が環境汚染や水道設備のトラブルを招く原因となります。

日本国内で年間30億枚以上が出荷されていることを考えると、ひとりひとりの正しい廃棄マナーが非常に重要です。

特に、水道やトイレに流すことは、分解されにくいプラスチックが下水処理施設で除去されずに環境へ放出されるリスクを高めるだけでなく、排水管の詰まりや水道設備の故障にもつながります。

環境保護と快適な生活環境を守るために、必ず自治体のごみ分別ルールに従い、使用済みコンタクトレンズは不燃ごみやプラスチックごみとして適切に処理しましょう。

また、周囲の家族や友人、特に若いカラコンユーザーにも正しい知識を伝えていくことが大切です。

小さな行動が未来の環境を守る一歩になります。

この記事が、皆さんのエコな意識向上と正しい廃棄習慣の定着に役立てば幸いです。