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水抜き栓とは何?どんな役割があるの?
このような疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。寒冷地の方以外は水抜き栓の単語さえ知らないと思います。
これから寒冷地へ引っ越しをされる方に向けて、水抜き栓の役割や仕組み、使い方を解説していきます。
また水抜き栓がなかった場合のリスクについても紹介しますので、参考にして下さい。
水抜き栓は、閉めることで水道管内の水を排出する装置のことで、不凍栓とも呼ばれます。
主に、冬の気温が氷点下になる地域の住宅に設置されています。
水抜き栓が必要な理由は、大きく以下の2つです。
水道管の凍結は、気温が氷点下になったときに寒い地域でよく起こります。
水道管に水が入ったまま気温が下がると水道管ごと凍結してしまい、水が使えなくなってしまいます。
そのため、あらかじめ水抜き栓を使って水を抜いておく処理が必要です。
水道管が凍結すると凍った水が膨張し、最悪の場合水道管の破裂を引き起こします。
もし破裂を起こしてしまうと自宅で水道が使えなくなるばかりか、水漏れによって近所の人にも迷惑をかけてしまいかねません。
あらかじめ水抜き栓で水道管の水を抜いたり、水圧を調整したりすることで水道管の破裂を防げます。
以上の理由から、水抜き栓は気温が氷点下になるような地域では必要不可欠な装置だといえます。
つづいては、水抜き栓の仕組みや種類についてくわしく見ていきましょう。
水抜き栓は、水道管内の水を完全に排出できる構造になっています。
一般的に水道管の低い位置に取り付けられており、バルブを閉めて管の途中をふさぐことで水の流れを遮断します。
すると蛇口や水道管に残った水はそのまま地中へ排出され、すべての水が抜けるという仕組みです。
地中にある水道管は、住宅へと給水するために立ち上がった状態でつながっています。
この部分は外気温の影響を強く受けるため、氷点下になると凍結が起きやすくなります。
そのため水抜き栓が水道管が立ち上がる部分の手前に設置されているのです。
また、水抜き栓の排出口は凍結しない程度の深さに設置されているため、排出された水が凍らないよう工夫されています。
水抜き栓には、大きく分けて次の3種類があります。
手動タイプは、1ヶ所のレバーやバルブを手動で操作することによって、家の中のすべての水道管から水を排出する仕組みです。
浴室・洗面所などの排水口や、トイレの排水口の下にある床面など、水まわりの最下部に設置されていることが多いです。
電動で操作する水抜き栓もあります。
手動で水抜き栓を操作することが難しい場合や、定期的な排出が必要な場合に使用されます。
家の中のリモコンを操作するだけで水が抜けるため、しょっちゅう水抜きが必要になる地域では便利です。
ただし高価であることと、メンテナンスが複雑な点には注意しましょう。
各水まわりごとに水抜き栓を操作するタイプもあります。
それぞれの水まわりの床や壁にレバーがついていて、個別に操作して使います。より柔軟な操作が可能で、場所ごとに正確に水を排出できる点がメリットです。
水抜き栓を正しく使うためには、適切な設置場所を知っておくことが大切です。
ここでは、戸建てやマンションにおける水抜き栓の設置場所や、各水まわりの水抜き栓の使い方を見ていきましょう。
戸建てやマンションにおける、水抜き栓の一般的な設置場所は次のとおりです。
戸建ての場合は一般的に、屋外の水道配管が露出している場所付近に設置されています。
マンションの場合は戸建てとは反対に、建物内に設置されることが多いです。
マンションの水道の主管は建物の地下にあり、水抜き栓は地下階の防火水槽近くなど、主管に近い場所に設置されるのが一般的です。
また、各部屋や各水まわりに水抜き栓が設置されているケースもあります。
基本的には青いフタの表函やバルブが見える状態で設置されているため、あらかじめ設置場所を確認しておくといいでしょう。
手動の水抜き栓の使い方の手順は次のとおりです。
まずは自宅の水抜き栓がどこにあるのかを探してみましょう。
水抜き栓には、専用のレンチなどで開けられるねじ、もしくはハンドルがあります。
適切な工具を使って内部のバルブを取り出してください。
バルブを取り出したら、右回りに最後まで回します。
その後、蛇口をすべて開けて水を抜きます。
10〜15分ほど待ち、水が抜けきったら蛇口をすべて閉めましょう。
再び水を通す場合は、蛇口がすべて閉まっていることを確認し、バルブを左回りに最後まで回します。
その後蛇口をゆっくり開けて通水しましょう。
戸建ての場合は、水道メーターから家の内部に入る水道管路に水抜き栓が取り付けられています。
水抜き栓のバルブを最後までまわして水を抜きましょう。
注意点として、バルブは必ず「全開」か「全閉」のどちらかで使うようにしてください。
中途半端な位置で止めると、排出口から常に水がちょろちょろ出つづける状態になってしまうので注意しましょう。
マンションの場合も、基本的には戸建てと同様に水抜き栓を操作します。
右回りにまわして水を抜き、左回りにまわして通水する流れですね。
マンションでは1階の部屋や木造など、冷えやすい場所は凍結の可能性も高いため注意が必要です。
ただし、マンションの場合は水抜き栓の設置場所が共有スペースにあったり、各部屋にあったりとさまざまです。
もし探せない場合は、管理会社や大家さんに連絡するのが確実ですよ。
電動の水抜き栓の使い方について、戸建てとマンションの場合を見ていきましょう。
水抜き栓は、水道メーターから家の内部に入る水道管路に取り付けられています。
電動水抜き栓の機能を使う場合は、蛇口を開けたあとに電源を入れ、水抜き開始のボタンを押しましょう。
水抜きが完了すると自動的に電源が切れるので、蛇口を閉めて完了です。
なお、戸建ての場合は専用の電源が必要になるため注意してください。
マンションの場合でも、戸建てと基本的に同じ使い方です。
蛇口を開けたあとに電源を入れ、水抜き開始のボタンを押しましょう。
水抜きが完了すると自動的に電源が切れるので、蛇口を閉めます。
なお、マンションの場合は一般的にマンションの管理会社が設置しているケースが多くみられます。
そのため、まずは管理会社に確認するのがおすすめです。
水抜き栓を使って水を抜いても、家の中の水道管にはまだ水が残っているかもしれません。
完全に水を抜くために、今度は各水まわりの水抜き栓の処理をしていきます。
各水回りの水抜きは、大本の水抜き栓を閉めてから行います。
また、作業前には必ず給水を止め、排水後は元に戻すのを忘れないようにしましょう。
キッチンでは水・お湯両方の蛇口をまわし、残っている水を出し切ります。
レバー式の蛇口であれば左右に振り、壁付きの蛇口であればドライバーでネジをゆるめてきっちりと排水しましょう。
もしシンク下にも水抜き栓(止水栓)があれば手でまわして排水し、排水後は元に戻すのを忘れないようにしてください。
普通の蛇口がついているケースもあるため、そのときはバケツなどで水を受けて排水しましょう。
お風呂では蛇口・シャワーの水やお湯をすべて出し切ります。
シャワーヘッドは下に置いておくと水が抜けていきます。
蛇口はドライバーでネジをゆるめ、水とお湯の両方を排水してください。
水抜き栓は、お風呂の床面の中央部分にあります。
お風呂への給水管からの水の供給を止めたら、水抜き栓を手で回して水を排出しましょう。
排出後は元に戻して給水を再開してください。
洗面所でも水・お湯両方の蛇口をまわし、残っている水を出し切りましょう。
蛇口がレバータイプなら左右に振り、壁付きタイプならドライバーでネジをゆるめて水を抜きます。
水抜き栓が洗面台の下にある場合は手でまわして排水し、排水後は元に戻してください。
洗濯場では洗濯機につながっている蛇口とホースを外し、水を出し切ります。
ホースを付けるための金具も指で押して排水しましょう。
このとき、水を受けるバケツを用意しておくとスムーズです。
洗濯場の水抜き栓は洗濯機の下や側面に設置されています。
洗濯機に給水する際には給水バルブを開き、排水する際には水抜き栓を手でまわして水を排出します。
排出後は元に戻してください。
トイレの場合は、タンク内の水をすべて抜かなくてはなりません。
ひたすらレバーをまわし、水が流れてこなくなるまで続けましょう。
もし数日家をあけるようなら、ホームセンターで車用のウォッシャー液を買ってきて入れておくと、不凍液のため凍結が防げますよ。
水抜き栓は、主にトイレの床面に設置されています。
トイレ本体への給水管からの水の供給を止めたら、水抜き栓を手でまわして水を排出します。
排出後は元に戻し、給水を再開してください。
水抜き栓は、水道管内に残った水を排水するための装置です。
特に冬場には水道管内の水が凍結することがあり、水抜き栓を使って水を抜いておくことで、水道管の凍結を防止できます。
もし水抜き栓での凍結対策を怠ると、まず「朝起きたら水が出ない」ということが起こります。
私も経験したことがありますが、こうなると水道管を保温するなどして氷が溶けるのを待たなくてはならず、その間は水が使えないため非常に不便です。
また、水道管が凍結してしまうと水が出なくなるどころか、水道管が破裂して大きな水漏れの原因になることも。
ひとたびこれらの問題が発生すると修理費用もかかり、もし水道管が破裂した場合は数十万円以上になることもあります。
このような事態を防ぐためにも、水道管の凍結対策は必ず行っておきましょう。
水抜き栓以外の水道管の凍結対策として、次のような方法もあります。
とはいえ、これらの対策をとっても凍結を完全に防ぐことはできません。
やはり、水を抜いておくことがもっとも有効な凍結防止策です。
水抜き栓を使う際には、次の点に注意しましょう。
使用する前に、必ず水道水を止めてから行ってください。
一見当たり前のようですが、意外とこの作業を忘れて大惨事になったりします。
水抜き栓を開けた際に出てくる水は、錆びや異物が混じっていることもあります。
最初に出てくる水は捨て、きれいな水が出るまで十分に流しましょう。
水抜き栓が動かなくなってしまった場合、以下の対処法が考えられます。
水抜き栓が動かない場合、まずは取扱い説明書などで正しい操作方法を確認しましょう。
水抜き栓の種類によって操作方法が異なるためです。
また、操作方法が間違っていると、栓が締め切られていると誤解してしまうこともあるため注意してください。
操作方法が正しいにもかかわらず、水抜き栓が動かない場合は、専門の水道修理業者に相談してみるのがおすすめです。
水抜き栓は水道管に設置されているため、素人が勝手に修理することはできません。
経年劣化により、装置が固まって動かせなくなっていることもあります。
このように水抜き栓が故障している場合は、修理ではなく交換が必要なケースもあります。
まずは水道修理業者に相談し、修理がいいのか交換がいいかの判断をしてもらいましょう。
水抜き栓の交換が必要になったときに気になるのが、業者に依頼する場合の費用相場ですよね。
かかる費用としては次のものがあります。
一般的な水抜き栓の本体価格は、500円〜2,000円程度が相場です。
高いものでは5,000円以上することもあります。
ホームセンターやAmazonなどで購入できますし、業者に依頼することも可能です。
機能や材質、メーカーによっても価格は異なります。
一般的な相場としては、工事費込みで25,000円〜80,000円程度です。
ただし、交換する場所の状態や作業の難易度によって費用が変わることもあります。
地域や業者によって価格は異なるため、目安として考えてくださいね。
普段から自分で水抜き作業をしているため、交換や設置もDIYでできるだろう!と考える人もいるかもしれません。
しかし、水抜き栓をDIYで交換・設置するのはやめましょう。
前提として、水抜き栓の交換や設置には専門知識と技術が必要です。
不正確な取り付けや作業ミスによって、水漏れや破裂などの事故・トラブルにつながることも考えられます。
また、水抜き栓には水道法に基づいた設置基準があるため、これに準拠しなければなりません。
素人がDIYで交換・設置を行ってしまうと、知らないうちに法令違反になる可能性もあるため、経験豊富な業者に依頼するのがおすすめです。
もし水抜き栓を誤った方法で交換・設置すると、次のような危険が考えられます。
作業時は水道管内の水を完全に止めなければなりません。
しかし、素人がDIYで行った場合、水道管内に残った水が漏れ出し、浸水被害を引き起こす可能性があります。
また、水抜き栓の取り付け位置や向きを誤ると正しく水が抜けず、水圧の低下や水漏れの原因になることも考えられます。
水抜き栓は、水道管内の圧力を正確に計測する装置です。
DIYで交換・設置した水抜き栓が正確な圧力を計測できない場合、水漏れや管の破損、水圧の低下などの原因となり、トラブルが発生する可能性があります。
以上のような危険性があるため、水抜き栓の交換・設置はDIYではなくプロの業者に依頼するのがおすすめです。
水抜き栓を交換・設置するときは、業者選びにも気をつけてください。
業者選びのポイントは次のとおりです。
業者の選定にあたっては、信頼性や実績が重要なポイントです。
過去の施工実績や口コミ、評判などを調べ、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
費用面も重要なポイントです。
とはいえ、中には費用の削減のため手抜き工事を行う悪徳業者も存在します。
たとえ安くても、手抜き工事をされてしまっては本末転倒ですよね。
見積もりは必ず複数の業者から取り、料金や工事内容を比較した上で、適正価格での工事を提供している業者を選ぶようにしましょう。
施工保証やアフターサポートの有無も確認しておいてください。
もし水抜き栓交換・設置後に問題が発生した場合、業者によっては工事後のアフターフォローが不十分であったり、保証期間が短かったりすることも。
工事後のフォローや保証期間がしっかりしている業者なら、安心して依頼できますよね。
以上のポイントを踏まえ、水抜き栓の交換・設置時には適正な価格で信頼できる業者選びをしましょう。
本記事では、水抜き栓の種類や使い方、水抜き栓が重要な理由についてお伝えしました。
寒冷地では水道管の凍結・破裂防止のため、水抜き栓設備は欠かせません。
一般的に氷点下4℃以下が凍結の目安とされており、氷点下10℃を下回るとかなり危険ラインと言えます。
私自身東北に住んでいるため、氷点下10℃以下の日は毎年経験しています。
水道管が露出している部分にヒーターを当てたり、家の中全体を暖めたりといった工夫で乗り切っていますが、億劫がらずに確実に水抜きを行うことがもっとも安全な方法です。
もし交換・修理が必要になったときはDIYはせず、必ず専門の業者に頼んでくださいね。
水抜き栓の仕組みや使い方を理解し、正しく使って安全かつ安心な水回り環境を実現しましょう!